体には動物性のバターより、植物性のマーガリンのほうが安全か?!
トランス脂肪酸の実態に迫る!
不飽和脂肪酸は水素の不飽和な箇所があるために反応しやすく、それだけ生理的な活性が高い脂肪酸ですが、その代わり不安定な脂肪酸でもあり、老化、酸化しやすく日持ちが悪い。つまり、体に安全性の高い油は酸化しやすいということだ。現代の多くの食用油では日持ちを良くするため、化学的な技術を使い強引に水素をくっつける。
植物や魚油などから得られる天然の不飽和脂肪酸では、ほとんどすべての分子二重結合は体内分解されやすい性質の折れ曲がった構造「シス型」をとる。ところが、(腐りにくい製品を作れる意味での)商品価値の高い、飽和脂肪酸を製造するには、不飽和脂肪酸から水素を添加し水素化させる。そうすると一部の不飽和脂肪酸のシス型分子結合がトランス型に変化し、直線状の構造を持つようになる。これが人間の体にとても悪い食べ物に「変身」する。
つまり、人工のトランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸を製造するための水素化や、不飽和脂肪酸を多く含む植物油の精製の際に、「副産物として生じる」という特性を生かす訳だ。トランス脂肪酸は通称<食品もどき練り状プラスチック>と呼ばれるものだ。トランス脂肪酸を食品に添加すると、その製品は腐敗を起こしにくくなり、金儲けとしての商売には表向きとても都合が良い。ところが、安全に敏感になってきた昨今、消費者の安全に対する意識が高まり、こうしたトランス脂肪酸を添加した商品では今まで通りには行かなくなってきたというわけだ。
摂取に伴うリスクとして指摘されているのは、主として虚血性心疾患の発症と認知機能の低下だ。また中年〜老年の健康な女性を対象とした疫学調査では、健康なトランス脂肪酸の摂取量が多い群ほど体内で炎症が生じていることを示すCRPなど炎症因子や細胞接着分子が高いことが示された。この事について、研究者は動脈硬化症の原因となる動脈内での炎症誘発の可能性があると指摘しているし、炎症因子についてはアトピーなどのアレルギー症へ悪影響を及ぼす疑いが出されている。摂取量が多い場合には、不妊症のリスクが高まる可能性もあると研究者の中で懸念が高まっている。
マクドナルドは2002年9月、心臓疾患の原因になると指摘されたトランス脂肪酸を減らすため、トランス脂肪酸を含まない調理油を03年2月までに新しいタイプに替えると発表した。ところが、実施が遅れたため03年2月に遅れの事実を公表しが、米国の健康問題活動家らは03年、消費者への告知が不十分だったとして損害賠償などを求め、カリフォルニア州の地裁に提訴されていた。
アメリカ合衆国では、2003年5月に、スナック菓子製造業者 Kraft Foods に対して、トランス脂肪酸を使わないように求める訴訟が起こされた。ニューヨーク市は2006年12月、同市内の飲食店におけるトランス脂肪酸の使用規制を決定した。2007年7月から、1食あたりの調理油やマーガリンに含まれるトランス脂肪酸を0.5g以下とする規制が施行され、違反者には最高2,000ドルの罰金が科せられる。
日本では一部インターネット上でトランス脂肪酸使用反対運動がなされているのと、ごく一部の企業がトランス脂肪酸低減に取り組んでいる程度で、政府や地方公共団体、業界団体は特段のトランス脂肪酸に対する規制を行っていない。日本でこの問題を危惧する者は、原材料表示を見てショートニングやマーガリン、ファットスプレッドがない食品を個々人で選ばざるを得ないのが現状だ。